歩行器の種類

歩行器とは加齢による下肢筋力低下や疾病による歩行バランス低下などにより歩行が不安定な場合、歩行を補助する福祉用具です。

体を三方で囲むフレーム構造により広い支持基底面で安定性が高くなり、足腰、膝への負担を軽減し、体重を歩行器に預けて転倒を予防します。

歩行器を使用するメリット

  • 足腰への負担を軽減できる
  • 歩行距離やスピードがあがる
  • 歩行バランスがとれ、ふらつきがなくなり安定して歩ける
  • 行動範囲の拡大、活動意欲向上

歩行器の種類

四脚歩行器

4本の脚があり固定式、交互式と分けられます。

固定式歩行器

固定式は身体の前面、側面をフレームでコの字に囲まれており、まず歩行器を持ち上げ一歩分前に出した後に1、2歩と進みます。上半身に方にある程度の力があり杖だけでは歩行が不安定な方におすすめです。

交互式歩行器

交互式は固定式の歩行器とフレーム構造は同じですが、持ち上げるのでなく歩く時に腕を振るように左右交互に動かして使用します。常に片方が地面に接しているため、支持基底面(※1)が広く安定感があります。固定式よりも少しバランスを取れる方、片足に痛みがある、歩行姿勢バランスがとりにくい方におすすめです。

(※1)支持基底面とは、立っている時に両足で囲まれた面です。この面が広いほど安定します。杖や歩行器を使用すると支持基底面が広がり安定します。

車輪付き歩行器

キャスターが付いている歩行器を指します。後方の脚にはストッパーとなる脚ゴムがついており、歩行状況に応じ、脚ゴム部を接地して歩行器を止めバランスをとります。固定式、交互式歩行器で持ち上げる動作が難しい方で連続走行が可能な方にはこちらがおすすめです。

3本、4本の脚全てにキャスターがついていて、掌でグリップを握り操作するタイプと前腕を支持台にのせて操作するタイプとあります。

グリップ操作タイプの歩行器は、歩行車とも言われ、身体を囲う形となっており左右のグリップを握って操作します。体重を支えながら歩行できることで、姿勢を整えバランスをとります。キャスターが大きめで屋外でも使いやすくなっています。

前腕支持台付タイプの歩行器は、支持台に乗せた腕で体重を支えながら走行します。下肢筋力低下が著しかったり、足腰の痛みがあるなど、足腰への負担を軽減しつつ歩行できます。また手元ハンドルの握りができない方にもおすすめです。

歩行器を選ぶポイント

①利用する場所(屋内・屋外)や目的に合わせる

室内であっても段差があるか、屋外では砂利道や坂道が多い、車など交通手段で車載が必要か、などの条件でキャスターの大きさや折り畳みができる、速度を抑制できるなどの機能が付加している歩行器を選びます。

②身体状況に合わせる

上下肢の筋力、バランス保持の程度、体力など考慮して選びます。能力に見合っていないと、転倒などに繋がる可能性があります。

③体格に合ったサイズを選ぶ

両手、腕の位置で操作がスムーズに安定してできるか左右されます。高身長の方が低い操作部の歩行器を使用して逆に姿勢が悪くなり足腰に負担がかかったり、体格が良いのにコンパクトすぎる歩行器を使用しバランスを崩すなど、サイズが合っていないと逆に歩行症状を悪化させます。

シルバーカーとの違い

歩行器は、しっかりと体重をかけることができます。対して、シルバーカーは自立歩行可能な方の買い物や外出を楽にする、荷物を運ぶもの。シルバーカーは身体を支える構造にはなっていません。

また、シルバーカーは介護保険での福祉用具貸与の対象外です。