移動用リフトは主に介護者の持ち上げるという介護負担を軽減することが目的です。一般的に人が持ち上げられる重さは20〜30kg程度と言われていますが、それ以上の重さのかかる要介護者を持ち上げることはなかなか困難であり、腰などを痛めることにつながります。介護する人、される人、双方が安全で安心できるように移動用リフトを活用していきます。
このページではリフトの種類とスリングシート(吊り具)の選び方について説明します。
移動用リフトの種類
ベッド固定式リフト
リフトをベッド本体に固定して吊り上げて使用します。ベッド⇔車いす、ベッド⇔ポータブルトイレなどベッドと他の用具間の移乗行えるようになります。リフトを使用するにはスリングシートが必要です。
床走行式リフト
キャスター付きで床を移動できるリフトです。ベッド固定式リフトと同じように吊り上げて移乗介助ができます。ベッド固定式と違い居室間を移動できるため、便器やソファーなどへの移乗など複数箇所で使用したい場合はこちらが便利です。
ただし、最初はスリングシートの取りつけ方や吊り上げるタイミングの練習が必要です。コツをつかめば簡単に利用できます。
据置式リフト
移乗したい場所、ベッド周辺、浴室などの空間にレールを組み立て、レールを伝ってリフトを移動して使用します。このタイプのリフトは設置面積が広くなりますが、操作が易しく、使いやすいリフトになります。
昇降座椅子
座椅子の座面が低い位置から立ち上がりしやすい高さまで電動で昇降します。膝の痛み、下肢筋力低下などにより床からの立ち上がりが難しい場合などに使用します。他にも座面回転タイプ、リクライニングタイプなどあります。
段差解消機
車いすを使用していたりすると、屋内外への移動時に段差が生じます。玄関の框や縁側などから、車いすに座ったまま昇降できる車いす用リフトです。奥行きがなくスロープの設置が難しかったり、スロープの傾斜を車いすを押す動作に負担がある場合などに活用します。
他にも人が座って段差を昇降する椅子型リストもあります。車いすレベルではないが膝の痛みや屈曲制限などにより段差を上がることができないなどの場合に座ったまま立ち上がりしやすい位置まで昇降します。
入浴用リフト
入浴介助の負担を軽減するリフトです。浴槽に設置して、浴槽内での立ち座り動作をリフトで行うもの、レールを組み立てたり、支柱を立て吊りシートやシャワーキャリーを吊って移乗するものがあります。
スタンディング(立上がり)リフト
膝を支点にして前方へ傾けて立上がりを補助するリフトです。ある程度の体幹バランスがとれる方、少しでも足の支持ができる方、膝に痛みのない方に使用します。リフトに乗せたまま移動できるため、ベッド⇔車いすやベッド⇔ポータブルトイレ、車いす⇔ダイニングチェア、車いす⇔便器などに移乗することもできます。
移動用リフトを正しく使用することで介護者の身体的負担を大きく軽減できます。介護リフトに関する情報はJASPA介護リフト普及協会のホームページをご覧ください。