介護保険対象のスロープは工事を伴わない取外し可能な段差解消スロープになります。段差の昇降ができない、キャスター付き歩行器での段差昇降、車いすでの走行を補助する福祉用具です。
スロープの種類
折りたたみタイプ
50cmから3mのスロープがあります。収納時は折り畳んで収納しておき、使う時に拡げて使用します。軽くて丈夫な素材で幅は80cm程度であるため玄関や掃き出し窓の間口にも置けるようになっています。
スライドタイプ
左右の2本で構成されており、必要な長さにスライドさせて使用します。2本に分かれているため、1本の重量が軽く、また短く収納できるので外出先などで段差があれば持ち運ふこともできます。
車いす介助で使用します。設置するときには車いすのタイヤの位置にずれないように設置します。
長いタイプのスロープだと介助者の足の運び方に注意が必要です。

据置タイプ
10cm未満の段差に据え置き設置するミニスロープです。屋内外、敷居の段差や玄関ドアのサッシ段差の解消などに使用します。

スロープの選び方
① スロープの長さ
使用する段差に対してスロープの長さが大切です。車いすを使うのであれば、自立駆動か介助操作で長さが違います。
介助操作の場合は段差高さに対して約6倍の長さ、傾斜角度は10度が目安です。

自立駆動の場合は段差高さに対して約12倍、傾斜角度は5度が目安です。

② スロープの形状や材質
使用場所が屋内か屋外かで形状や材質を選択します。
- 使用場所に奥行きがあるか。
- 外出先にも持ち運ぶのか。
- 日に当たる場所なのか。
- 水に濡れる場所なのか。
材質は木製やゴム製、金属製や樹脂製など多種あるので最適なものを選択します。
スロープが適さないケース
- 下肢装具を装着し足関節が固定されている方にとってはスロープだと逆に移動しにくなります。
- 杖歩行の場合、脚先ゴムの着面が傾斜に対して垂直にならず、杖が安定しないため、バランスを崩す可能性があります。
- 歩行器走行で傾斜を降る時、キャスターの速度に足がついていかず、転倒につながる可能性があります。そのような方は自動抑速ブレーキ付きの歩行器やアシスト付き歩行器を選択しましょう。
- パーキンソン病の方や慢性関節リウマチなど足関節に障害がある方など、傾斜走行が関節に負荷のかかる場合は無理をすると骨折などにつながるため、スロープは避ける必要があります。
上記のような場合は、現状の段差を低くする式台や玄関台などで段差を解消しましょう。